シニア犬が水を飲まないときはどうする?現役動物看護師が教える水分補給の工夫10選

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はじめに

「最近、水を飲む量が減った気がする…」
「お水を置いているのに、全然飲みに行かない」
「ごはんは気にしているけど、水分ってどのくらい必要なの?」

シニア犬と暮らしていると、
こんな疑問を感じることはありませんか?

実は動物病院でも、
「うちの子、あまり水を飲まないんです」
という相談をよく受けます。

でも、
ここで一つ知っておいてほしいこと。

それは、
「水を飲まない」と「水を飲めない」は違う
ということ。

お水が目の前にあっても、器まで歩くのがつらい。
首を下げる姿勢がつらい。
舌をうまく動かせない。
飲み込む力が弱くなっている。
体調が悪くて飲みたくない。

そんな理由で、
飲みたいのに十分に飲めていない子もいます。

水は犬にとって欠かせない栄養素で、
必要量は食事・環境・活動量・健康状態
などによって変わります。

だからこそ、
「飲まないなら、どうやって飲ませよう?」
の前に、
「なぜ飲めていないんだろう?」と考えること。

今回は、現役動物看護師の私が、
シニア犬が水を飲まないときに
確認してほしいことと、

今日から試せる10個の水分補給の工夫を
お伝えします。

まず知ってほしい。
「水を飲まない=喉が渇いていない」
とは限らない

若い頃は、
喉が渇いたら自分で水飲み場まで歩いて、
器に顔を入れて、ゴクゴク飲めていた。

でもシニアになると、
今まで普通にできていたことが
少しずつ難しくなることがあります。

例えば、
足腰が弱って水
飲み場まで行くのが面倒になっている。

関節などに痛みがあって、
首を下げる姿勢がつらい。
器が滑って、うまく姿勢を保てない。
口や喉に問題があり、飲み込みにくい。

AAHA(全米動物病院教会)も、
食事や水分摂取量の低下には、
頭を器まで下げるときの痛みや、

噛む・飲み込む際の不快感などが
関係する場合があるとしています。

だから、
「水はちゃんと置いてあるから大丈夫」ではなく、
実際に愛犬がどうやって飲んでいるか
まで見てあげてほしいんです。

まずは「いつもの飲み方」を観察してみて

今日、
水を飲んでいる愛犬を少しだけ
観察してみてください。

以前と比べて、
「器まで行く回数が減っていない?」
「飲んでいる時間が短くなっていない?」
「舌ですくえている?」

「途中でやめてしまわない?」
「むせたり咳をしたりしていない?」
「水を飲んだあと、口や鼻から水が出てこない?」

ここには、たくさんのヒントがあります。

特にむせる・咳き込む・飲み込みづらそう
などがある場合は、無理に飲ませないでください。

嚥下に問題がある犬では、
液体が気管や肺へ入ってしまい、
誤嚥性肺炎につながることがあります。

「飲ませなきゃ!」よりも、
なぜ飲めないのかを確認することが先です。

シニア犬の水分補給|
今日からできる10の工夫

ここからは、ご家庭でできる工夫を紹介します。
全部やる必要はありません。

愛犬に合いそうなものを、
一つずつ試してみてください。

① 水飲み場を増やす

今、水飲み場はいくつありますか?
シニア犬の場合、
「水は飲みたいけれど、そこまで歩くのが大変」
ということもあります。

いつもの場所だけではなく、
よく寝ている場所の近く。
リビング。
普段過ごしている部屋。

など、
愛犬がアクセスしやすい場所にも
水を置いてみましょう。

複数の場所に新鮮な水を用意することは、
水分摂取を促す方法の一つです。

特に寝ている時間が長くなってきた子は、
「犬を水のところへ連れていく」のではなく、
「犬の近くに水を持ってくる」
という発想も大切です。

② 器を見直す

実は、
水そのものではなく、器が飲みにくい
ということもあります。

深すぎる。
小さすぎる。
飲むたびに動く。
床が滑る。
顔を入れにくい。

そんな小さなことが、
シニア犬にとって負担になることがあります。

器を滑りにくくしたり、
愛犬が楽な姿勢で飲める位置を
探したりしてみましょう。

昨日まで普通に使えていた器が、
今の愛犬にも使いやすいとは限りません。

③ 新鮮なお水をこまめに用意する

基本的なことですが、とても大切です。
水はこまめに交換し、
器も清潔にしておきましょう。

犬がいつでも飲めるよう、
基本的には
新鮮で清潔な水へ自由にアクセスできる環境
を用意します。

「飲まないから減ってないし、まだいいかな」
ではなく、飲んでいなくても交換する。

まずはここからです。

④ ごはんに水分をプラスする

お水だけで飲んでくれないなら、
「飲む」だけで水分をとろうとしなくても大丈夫。
食事から水分をとる方法もあります。

例えば、
ドライフードにぬるま湯を加える。
ふやかしてあげる。
ウェットフードを取り入れる。

ウェットタイプのフードは
ドライフードより水分含有量が多いため、
食事からとる水分量を増やす方法の
一つになります。

前の記事でもお話ししましたが、
ドライフードだけにこだわる必要はありません。
その子の状態に合わせて考えてあげましょう。

⑤ スープを活用する

「普通のお水には興味がないけど、
香りがすると飲んでくれる」
という子もいます。

そんな場合は、
犬が安全に食べられる食材を使ったスープ
という方法もあります。

ただし、
人間用のスープやダシをそのまま与えるのは
おすすめしません。

塩分や調味料だけでなく、
玉ねぎ・ねぎ類など犬に適さない食材が
含まれていることがあるからです。

「人間用を薄めれば大丈夫」と考えるのではなく、
犬用として安全なものを選ぶ
ようにしてください。

⑥ ゼリーや寒天で「食べる水分」にする

「水は飲まない。でも食べることは好き!」
そんな子なら、水分を“食べる”形に変える
のも一つの方法です。

水分を多く含んだゼリーや寒天など、
愛犬が食べやすい形にしてみる。

「水を飲ませなきゃ」と一つの方法にこだわらず、
どうしたらこの子が無理なく水分をとれるかな?
と考えてみましょう。

※持病がある場合は、
使用する材料について
かかりつけの獣医師に確認してください。

⑦ 食事の前に水分をすすめてみる

これは私がシニア犬のお世話をするときにも
意識したいポイントです。

ごはんを食べる前に、
まずお水を近くに置いてみる。
少し口を潤してから食事に入る。

無理やり飲ませる必要はありません。
「飲ませる」のではなく、
飲める機会をつくるくらいに考えてください。

ただし、
寝たきりの子やシニアの子であれば、
注射器やスポイトなどから
少し口にお水を含ませる程度に与えると
口腔内が潤うので、

ご飯が食べやすくなったり、
食事スイッチが入ったりすることもあります。

⑧ 温度や香りを変えてみる

犬によって好みは違います。
常温のお水が好きな子。
少しぬるめが飲みやすい子。
香りがあると興味を持つ子。

シニア犬では、
「今までこうだったから」ではなく、
今の好みを探してみることも大切です。

何種類か試して、
「これなら飲む!」を見つけてあげましょう。

⑨ 給水ボトルだけに頼りすぎない

給水ボトルが悪いわけではありません。
上手に飲めているなら、一つの方法です。

ただ私は、
お皿から水を飲めることも大切にしてほしい
と思っています。

シニアになると、
体勢や舌の使い方が変化することがあります。

「ずっとこの方法だったから」と一つに決めず、
器からも飲める環境を残しておく。

その子が飲みやすい選択肢を
増やしてあげることが大切です。

⑩ 自分で十分に飲めないときは「無理に流し込まない」

寝たきりになったり、体力が落ちたりすると、
自分だけでは
十分な水分をとれなくなることがあります。

そこで思いつくのが、
シリンジで水を飲ませる方法。

でも、ここは特に注意してほしいところです。
口の中へ勢いよく水を入れたり、
飲み込めていないのに
追加したりするのは危険です。

嚥下機能に問題がある場合、
液体を誤嚥するリスクがあります。

シリンジなどで補助する必要がある子は、
その子の飲み込む力や姿勢を
動物病院で確認してもらい、
安全な方法を教えてもらうのがおすすめです。

水分不足が大きい場合には、経口だけではなく、
状態に応じて皮下・静脈など
別の方法で補液が必要になることもあります。

水分管理は病気や脱水の程度によって
個別に考える必要があります。

「1日に○mL飲ませればOK」と数字だけで考えないで

ここも大切です。
「犬は1日どのくらい水を飲めばいいですか?」
と聞かれることがあります。

水分必要量には目安がありますが、
すべての犬に
同じ数字が当てはまるわけではありません。

体重だけでなく、食べているもの。

気温や環境。
運動量。
病気。
嘔吐や下痢などによる水分喪失。
などによって必要量は変わります。

さらに、
ウェットフードや手作りごはんから
水分をとっている子なら、
器から飲む量が少なく見えることもあります。

だから、
「器の水が何mL減った?」
だけを見るのではなく、
一日の食事も含めて考える。

そして何より、
いつもの愛犬と比べること。
「急に飲まなくなった」
という変化そのものが重要です。

反対に「急に水をたくさん飲む」も見逃さないで

水分不足ばかり気にしていると、
「たくさん飲んでいるから安心!」
と思ってしまうかもしれません。

でも、以前より明らかに水を飲む量が増えた
という変化も、
動物病院へ相談してほしいサインです。

病気によって飲水量が増えることもあります。
例えば糖尿病などでは
多飲がみられることがあります。

少なすぎても、多すぎても、
「いつもと違う」を見逃さないことが大切です。

こんなときは水分補給の工夫だけで様子を見ないで

お水を飲まないとき、
スープにしてみよう。
器を変えてみよう。
ウェットフードにしてみよう。
こうした工夫はできます。

でも、体調が悪い子を家庭の工夫だけで
長く様子を見ることはおすすめできません。

特に、水も食事もとれない、
ぐったりしている、
繰り返し吐く・下痢をする、
尿の量が明らかに変わった、
口の中が乾いている、

目が落ちくぼんで見える、
飲むとむせる・咳き込む、
呼吸がおかしい

こうした変化がある場合は、
早めに動物病院へ相談してください。

乾いた粘膜や目の落ちくぼみなどは
脱水でみられることがあります。

そして、
「シニアだから水を飲まなくなったんだろう」
で終わらせないでほしいんです。

年齢だけではなく、
体のどこかに理由がないかを考えてあげましょう。

今日からやってほしいこと

10個全部やらなくて大丈夫です。
まず今日やってほしいのは、
愛犬が水を飲んでいるところを、
最初から最後まで見ること。

たったこれだけ。

どこで飲んでいる?
どんな姿勢?
ちゃんと舌ですくえている?
何回くらい飲んでいる?
途中で疲れていない?
むせていない?

そして可能なら、
いつ、どのくらい飲んだかを
記録してみてください。

食事や飲水量を記録しておくことは、
変化に気づくうえでも役立ちます。

「飲ませる工夫」を始める前に、
今の愛犬を知る。
まずはここからです。

まとめ|大切なのは「どう飲ませる?」だけじゃない

シニア犬が水を飲まなくなったら、
「なんとか飲ませなきゃ!」
と焦ってしまうと思います。

でも、
水を飲まないのには理由があるかもしれません。

器が飲みにくいのかもしれない。
水飲み場まで行くのがつらいのかもしれない。
舌をうまく使えなくなっているのかもしれない。

飲み込むこと自体が
難しくなっているのかもしれない。

だから、
「どうやったら飲ませられる?」だけではなく、
「なぜ飲めていない?」を考えてみてください。

そして、水分補給はお水だけではありません。
ウェットフード。
ごはんに加える水分。
スープ。
ゼリーや寒天。

その子が安全にとれる方法を探していいんです。

シニア犬のお世話に、
一つだけの正解はありません。

昨日までできていたことが、
今日は少し難しくなることもあります。

だからこそ、
「今、この子にとって
一番飲みやすい方法は何だろう?」と、
その時々で考えてあげてください。

今日、
お水を飲んでいる愛犬の姿を
少しだけじっくり見てみる。

その小さな観察が、
愛犬の変化に気づくきっかけに
なるかもしれません。

次回は、
「シニア犬の後ろ足が弱くなった、、、
動物看護師が教える今日からできる
筋力維持の方法」をテーマにお届けします。

また次の記事でお会いしましょう。

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