シニア犬の後ろ足が弱くなった…

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現役動物看護師が教える今日からできる筋力維持の方法

「最近、
立ち上がるのに時間がかかるようになった」
「歩いていると後ろ足がふらつく」

「フローリングで足が滑ることが増えた」
「お散歩の途中で立ち止まるようになった」

シニア犬と暮らしていると、
こんな変化に気づくことがあります。

そして、「もう歳だから仕方ないのかな…」
と思ってしまう飼い主さんも少なくありません。

でも私は、シニア犬のリハビリに関わる中で、
「歳だから」で終わらせないでほしい
と思っています。

もちろん、年齢とともに筋肉量が減ったり、
今までと同じように動けなくなったり
することはあります。

実際、シニア犬では
除脂肪体重が減少する傾向があり、
筋肉の状態を継続して評価することも大切です。

AAHAでも、
後ろ足が弱くなったように見える理由は、
それだけではありません。

関節が痛い。
腰や背中が痛い。
神経に問題がある。
滑る床が怖くて踏ん張れない。
病気や体調不良で活動量が落ちている。

さまざまな可能性があります。

だからこそ、
「筋肉が落ちたから、
とにかく運動させよう!」
ではなく、

「なぜ後ろ足が弱くなったように見えるの?」
から考えてあげることが大切です。

「歳だから歩けない」は本当?

シニア犬になると、
若い頃と比べて活動量が
減ってくることがあります。

寝ている時間が増える。
散歩が短くなる。
走らなくなる。
段差を避けるようになる。

すると当然、
筋肉を使う機会も少なくなります。

筋肉が落ちる
↓
動くのが大変になる
↓
さらに動かなくなる
↓
さらに筋肉を使わなくなる

こんな流れにつながることもあります。

一方で、飼い主さんが「年齢のせい」と
思っていた動きの変化に、
慢性的な痛みが関係している
ケースもあります。

AAHA(全米動物病院協会)も、
シニア期の変化として
見過ごされているものが、
慢性疼痛による場合があるとしています。

だから、
「もっと歩かせればいい」でも、
「もう歩かせない方がいい」でもありません。

その子の体の状態を確認しながら、
今できている動きを大切にする。

私はこれが、
シニア犬の筋力維持では
とても大切だと思っています。

私がシニア犬のリハビリで大切にしていること

筋力維持というと、「筋肉をつける!」
というイメージがありませんか?

もちろん筋肉は大切です。
でもシニア犬の場合、
それだけが目的ではないと思います。

自分の足で立つ。
自分でトイレまで歩く。
ごはんを食べに行く。
大好きなお散歩に行く。

そんな日常の「できる」を、
できるだけ長く残してあげること。
これも立派なリハビリです。

昨日よりたくさん歩けなくてもいい。
若い頃のように走れなくてもいい。

大切なのは、
「できなくなったこと」ではなく、
「今できていること」を維持すること。

そのために、
家庭でできることはたくさんあります。

今日からできる筋力維持の方法

ここからは、
ご家庭でも取り入れやすい方法を紹介します。

ただし、
すべてのシニア犬に
同じ運動が適しているわけではありません。

関節や脊椎、神経などに問題がある場合、
運動内容を調整する必要があります。

シニア犬のケアは個々の状態に合わせて
考えることが重要です。

痛みがある、急に歩けなくなった、
足を引きずるなどの変化がある場合は、

運動を始める前に
動物病院で相談してください。

① お散歩は「長さ」より、その子に合った量を

「筋肉を落とさないために、
いっぱい歩かせなきゃ!」
そう思ってしまうかもしれません。

でも、
長時間歩けばいいわけではありません。

シニア犬では、
疲れ切るまで1回歩くより、
その子が無理なく動ける範囲
を考えることが大切です。

10分なら楽しく歩けるのに、
30分歩いたら帰宅後ぐったりしてしまう。
それなら、その子にとって30分は
多すぎる可能性があります。

距離や時間だけではなく、
歩いているときの姿勢や、
帰宅後の様子まで見る。

途中から後ろ足を引きずっていない?
歩幅が急に小さくなっていない?
翌日に動きづらそうじゃない?

そこまで含めて、
その子に合った運動量を探しましょう。

② 「立つ」ことも立派な運動

歩くことばかりが運動ではありません。

自分の足で立って姿勢を保つだけでも、
体を支えるために筋肉を使います。

例えば、ごはんを食べるとき。
お水を飲むとき。
ブラッシングをするとき。

無理のない範囲で、
自分の足で立つ時間を作ってあげる。

ただし、
ふらついて転びそうな子を
無理に立たせる必要はありません。

安全にできる範囲で行うことが大前提です。

③ 滑らない環境を作る

これは運動そのものではありませんが、
私はとても大切だと思っています。

後ろ足が弱くなった犬にとって、
ツルツルのフローリングは
踏ん張りにくい環境です。

滑る
↓
怖くなる
↓
動きたくなくなる

ということもあります。

カーペットや滑りにくいマットなどを使って、
「ちゃんと足に力を入れられる床」
を作ってあげましょう。

AAHAのシニアケアガイドラインでも、
シニア犬の移動を助ける環境調整として、
ラグやヨガマットなどによる
足場の改善が挙げられています。

運動を増やす前に、まず動きやすい家にする。
これだけでも大きな一歩です。

④ ゆっくり重心を移動する

しっかり立てる子なら、
立った状態で体重を左右へ
ゆっくり移動させるような
運動を取り入れることもあります。

例えば、おやつなどを使って顔の向きを少し変えると、
体の重心も動きます。
大きく動かす必要はありません。

ポイントは、
ゆっくり・小さく・無理をしないこと。

ただし、
ふらつきが強い子や痛みがある子には
適さない場合があります。

「うちの子にやってもいい?」と迷ったら、
獣医師やリハビリスタッフに相談してください。

⑤ 立つ・座る動きを利用する

状態によっては、立つ→座る
という普段の動きを運動として
利用することもあります。

人間でいうスクワットに
少し似ています。

でも、ここで大事なのは
回数をこなすことではありません。

膝や股関節、腰などに問題がある子では
負担になる可能性もあります。

無理に何十回もやるのではなく、
その子に適しているかを
確認したうえで行いましょう。

⑥ 足先への意識も大切に

後ろ足が弱くなってくると、
足先の位置を
うまく調整できなくなる子もいます。

立っているとき、
後ろ足が変な位置になっていないか。
足の甲を床についていないか。
爪を擦って歩いていないか。
左右で足の置き方が違わないか。

こうした変化もチェックしてみてください。

足の甲をついたまま戻せない、
爪を強く擦る、急にふらつく
などの変化は、

単純な筋力低下だけではなく
神経系などの問題も考える必要があります。

シニア犬の歩行・運動の変化は、
筋骨格系だけでなく神経系も含めて評価されます。

その場合は自己流の筋トレより、
まず動物病院へ相談してください。

⑦ 体重管理も「足を守るケア」のひとつ

筋力を維持するなら、
運動だけではなく
体重や筋肉の状態も大切です。

体重が増えすぎれば、
関節や移動への負担につながります。

一方でシニア犬では、
体重だけを見ていると
筋肉が減っていることに
気づきにくい場合があります。

AAHAも、シニア期には体重だけでなく、
BCS(ボディコンディションスコア)と
筋肉の状態を評価することを勧めています。

「体重が変わっていないから大丈夫」
だけではなく、

太ももが細くなっていない?
背骨が以前より目立っていない?
左右で筋肉のつき方が違わない?

そんなところにも目を向けてみましょう。

お家だけで頑張らなくてもいい

後ろ足が弱ってきたとき、
飼い主さんだけで
なんとかしようとしなくて大丈夫です。

動物病院では、
その子の状態によってさまざまなリハビリを
行うことがあります。

私が勤務している動物病院でも、
状態に合わせて、

ウォータートレッドミル、
バランスボールなどを使った運動、
物理療法などを取り入れることがあります。

水中での運動を含むハイドロセラピーや
運動療法などは、

シニア犬の疼痛管理や移動能力
バランスを支える
リハビリの選択肢として
AAHAのガイドラインでも
挙げられています。

ただし、
「シニア犬だからこのリハビリをやればいい」
というものではありません。

病気、痛み、筋力、関節の状態、性格
などによって内容は変わります。

その子に合った方法を選ぶことが一番大切です。

「歩かせない方がいい」は本当?

後ろ足が弱くなってくると、
「転んだらかわいそうだから」
「歩くと関節に悪そうだから」と、
動かさないようにしてしまうことがあります。

もちろん、痛みが強いときや獣医師から
運動制限を指示されている場合は別です。

でも、弱ってきた=すべての運動をやめる
とは限りません。

シニア犬の慢性的な筋骨格系の問題では、
疼痛管理や環境調整などと組み合わせて、
身体リハビリを活用する考え方があります。

だから、「歩かせる?歩かせない?」
の二択ではなく、
「今のこの子には、
どんな動きなら安全にできる?」
を考えてほしいんです。

こんなときは「筋力低下かな?」で様子を見ないで

徐々に筋肉が落ちてきたように見える場合と、
急に歩けなくなった場合では話が違います。

突然立てなくなった。
後ろ足を引きずる。
強い痛みがありそう。

触ると鳴く。
足の甲をついたまま歩く。
急にふらつきが強くなった。

呼吸がおかしい、ぐったりしているなど、
足以外にも変化がある。

こうした場合は、
「歳だから筋肉が落ちたのかな」
と自己判断せず、
動物病院へ相談してください。

シニア犬の移動能力の変化は、
関節だけでなく、
神経系や全身疾患なども
含めて考える必要があります。

今日からできることは「動画を撮る」

この記事を読んで、
「じゃあ今日からスクワットさせよう!」

ではなく、まずやってほしいことがあります。
愛犬が立ち上がって歩くところを、
動画で撮ってみてください。

できれば、いつも過ごしている場所で撮ります。
そして見てほしいのは、

☑ 一度で立ち上がれる?
☑ 前足ばかりに力を入れていない?
☑ 後ろ足が滑っていない?
☑ 左右差はない?
☑ 歩幅が小さくなっていない?
☑ 爪や足の甲を擦っていない?

写真では分からないことも、
動画にすると見えてきます。

実際、AAHAのシニアケアガイドラインでも、

家庭で撮影した歩行などの動画は、
痛みや移動能力、
動きの変化を評価するうえで役立つ
とされています。

今日撮った動画を残しておいて、
1か月後。
3か月後。
また同じように撮ってみる。

そうすると、
「なんとなく弱くなった気がする」
だけでは分からなかった変化に
気づきやすくなります。

診察のときに獣医師へ見せることもできます。

まとめ|シニア犬の筋力維持は「今できること」を守るため

シニア犬の後ろ足が弱ってくると、
「もう歩けなくなっちゃうのかな…」
と不安になると思います。

でも、
できなくなったことだけを見なくて大丈夫。

今日、自分で立てた。
今日、自分でお水を飲みに行けた。
今日、お散歩で匂いを嗅げた。

それも全部、その子が今持っている力です。

筋力維持は、
若い頃の体に戻すことだけが目的ではありません。

私は、
「その子らしい生活を、
できるだけ長く続けるためのもの
」だと思っています。

たくさん運動させることが正解でも、
ずっと安静にすることが正解でもありません。

痛みがないかを確認する。
滑らない環境を作る。
今できる運動を続ける。
体重と筋肉をチェックする。

必要なら、動物病院やリハビリを頼る。

そして何より、

「できなくなったこと」ではなく、
「今日できたこと」を見てあげる。

昨日より歩く距離が短くてもいい。
ゆっくりでもいい。
途中で休んでもいい。

その子のペースで、
その子が持っている力を
大切にしていきましょう。

まず今日は、
愛犬が立ち上がって歩く姿を
動画に残してみてください。

その何気ない姿が、
これからの愛犬の足を守るための大切な記録になります。

次回は、
「シニア犬に散歩は必要?無理なく続けるコツ」
をテーマにお届けします。

また次の記事でお会いしましょう。

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