「最近、お散歩に行きたがらなくなった…」
「途中で立ち止まることが増えた」
「後ろ足が弱くなってきたけど、
歩かせた方がいいの?」
「寝ている時間が増えたけど、
起こしてまでお散歩に行くべき?」
シニア犬と暮らしていると、
こんな悩みを感じることはありませんか?
動物病院でも、
シニア犬の運動について
相談を受けることがあります。
飼い主さんからよく聞くのが、
「もう歳だから、お散歩は必要ないですよね?」
という言葉。
でも私はシニア犬だからこそ、
お散歩の時間を大切にしてほしいと思っています。
もちろん、
若い頃と同じように歩く必要はありません。
1時間歩けていた子が、
今は10分しか歩けなくなった。
途中で何度も立ち止まる。
歩くスピードがゆっくりになった。
それでもいいんです。
なぜなら、
お散歩の目的は、
ただ歩くことだけではないから。
外の匂いを嗅ぐこと。
風を感じること。
季節の変化を楽しむこと。
そして、
大好きな飼い主さんと一緒に過ごすこと。
こうした時間も、
シニア犬にとって大切なものだと
私は考えています。
今回は、現役動物看護師として、
シニア犬にもお散歩を続けてほしい理由と、
無理なく楽しむための7つのコツをお伝えします。
※病気や痛みなどで運動制限が必要な子もいます。
今の体調に合わせて、
無理のない方法を選んであげてくださいね。
① なぜシニア犬にもお散歩が大切なの?

「もう高齢だし、
家でゆっくり過ごさせてあげたい」
そう思う飼い主さんの気持ちもよく分かります。
でも、体調が安定していて安全に歩ける子なら、
適度に体を動かすことにはメリットがあります。
シニア犬のお散歩には
大きく分けて3つの役割があると考えています。
1. 筋肉を使う機会をつくる
シニア犬になると、
若い頃に比べて活動量が減ることがあります。
寝ている時間が増えたり、
お散歩の時間が短くなったり。
すると、
筋肉を使う機会も少なくなります。
筋肉が落ちる
↓
動くのが大変になる
↓
さらに動かなくなる
↓
筋肉を使う機会が減る
そんな悪循環につながることもあります。
だからこそ、
無理のない範囲で体を動かすことが大切。
でもここで勘違いしてほしくないことが、
「筋肉を落とさないために、たくさん歩かせる」
が正解ではありません。
痛みを我慢して歩かせたり、
疲れ切るまで運動させたりするのは
逆効果になる可能性があります。
大切なのは、
今の愛犬が無理なく続けられる
運動量を見つけること。
私はシニア犬のリハビリにも関わっていますが、
筋力維持で大切なのは、
ただ運動量を増やすことではないと思います。
自分で立つ。
トイレまで歩く。
ごはんを食べに行く。
そんな日常の動きを、
できるだけ長く続けられること。
そのための運動として、
お散歩を取り入れてほしいのです。
2. 匂いを嗅ぐことが刺激になる

ここは、ぜひ知っておいてほしいポイントです。
犬にとってお散歩は
「歩く時間」だけではなく「匂いを嗅ぐ時間」
でもあります。
私たち人間は、
目からの情報を得ています。
でも犬は、嗅覚を使って
周囲のさまざまな情報を集めています。
いつもの道でも、
ほかの犬が通った匂い
草や土の匂い
季節によって変わる植物の匂い
犬にとってはたくさんの情報があるんです。
お散歩中に何度も立ち止まって匂いを嗅ぐことは、
決して無駄な時間ではありません。
むしろ、
犬らしい行動を楽しめる大切な時間
だと思っています。
シニア犬では、
体を動かす機会だけでなく、
適度な感覚刺激や環境の変化を取り入れることも、
生活を充実させるための工夫になります。
匂い嗅ぎだけで認知症を予防できると
証明されているわけではありません。
それでも私は、
「たくさん歩かなくても、
たくさん楽しめるお散歩」
を大切にしてほしいと思っています。
3. 生活にメリハリが生まれる

シニア犬になると、
寝ている時間が長くなることがあります。
もちろん、睡眠や休息は大切です。
でも、体調が安定している子なら、
日中に外へ出て光を浴びたり、
周囲の刺激を感じたりすることも、
生活にメリハリをつけるきっかけになります。
例えば、
朝、外に出て日光を浴びる。
昼間は家でゆっくり休む。
夕方、涼しくなってから少しお散歩する。
こんなふうに、
その子に合った生活リズムを
作ってあげるのもいいですね。
ただし、
無理に寝ている子を起こしてまで
散歩へ連れ出す必要はありません。
「毎日絶対に行かなきゃ!」ではなく、
「その子が心地よく過ごせる時間をつくる」
という気持ちで考えてみてください。
② 「散歩に行きたがらない」は年齢のせい?
ここで一つ、気をつけてほしいことがあります。
「歳だから散歩が嫌いになったんだろう」
と決めつけないこと。
今まで喜んで散歩に行っていた子が、
急に行きたがらなくなった。
途中で座り込むようになった。
歩くスピードが急に遅くなった。
こんな変化があった場合は、
体のどこかに不調が隠れている可能性もあります。
例えば、
- 関節や腰の痛み
- 筋力の低下
- 心臓や呼吸器の問題
- 視力や聴力の変化
- 神経の病気
- 暑さや寒さによる負担
などです。
特に急に歩きたがらなくなった場合や、
痛そうな様子がある場合は、
動物病院で相談してください。
呼吸が苦しそう、
倒れる、
急に立てなくなる
といった場合は、
緊急の診察が必要です。
「散歩に行かない=怠けている」わけでも、
「もう歳だから仕方ない」わけでもありません。
まずは、
その子が歩きたがらない理由を
考えてあげましょう。
③ シニア犬のお散歩を無理なく続ける7つのコツ

ここからは、
今日から取り入れられる
具体的な工夫をご紹介します。
すべてを実践する必要はありません。
愛犬に合いそうなものから
試してみてくださいね。
① 散歩は「距離」より「質」を大切にする
若い頃は1時間歩いていたから、
今も1時間歩かせなきゃ。
そんなふうに思っていませんか?
シニア犬のお散歩で大切なのは、
距離や時間だけではありません。
例えば、
Aちゃんは30分歩くけれど、
途中から疲れて足を引きずってしまう。
Bちゃんは10分だけど、
楽しそうに匂いを嗅ぎながら歩いている。
この場合、
必ずしも30分歩く方がいいとは限りません。
「どれだけ歩いたか」ではなく、
「どんな状態で歩けたか」
ここを見てあげてほしいです。
お散歩から帰ってきたあとも元気?
翌日に疲れが残っていない?
歩き方が悪くなっていない?
そんなところまで観察して、
愛犬に合った運動量を見つけていきましょう。
② 匂いを嗅ぐ時間をたっぷりつくる
お散歩中、「ほら、行くよ!」
と急かしてしまうことはありませんか?
もちろん、
危険な場所では立ち止まらずに
移動する必要があります。
でも安全な場所なら、
愛犬が匂いを嗅ぐ時間を少し長めに
作ってあげてほしいです。
草の匂い
土の匂
いつも通る道の匂い
シニア犬にとって、
そんな時間も楽しみの一つになります。
10分のお散歩でも、
5分は匂いを嗅いでいる
そんな日があってもいいと思います。
歩く距離を増やすことだけが
お散歩ではありません。
③ いつもと違うコースを歩いてみる

毎日同じコースを歩いていませんか?
慣れた道を安心して歩けることも大切です。
でも体調が安定していて
環境の変化が好きな子なら、
たまには違う道を歩いてみるのもおすすめ。
いつもと違う公園
普段は曲がらない道
季節の花が咲いている場所
ほんの少しコースを変えるだけでも、
違う匂いや景色を楽しめます。
ただし、視力が低下していたり、
知らない場所に不安を感じたりする子もいます。
「刺激を増やすこと」より、
「安心して楽しめること」が優先です。
その子の性格に合わせて選んであげましょう。
④ 1回を短くして、回数を分ける
長い距離を続けて歩くのが難しくなった子は、
お散歩の時間を短くしてみましょう。
例えば、今まで朝に30分歩いていた子なら、
朝に10分
夕方に10分
というように、
短い時間に分ける方法もあります。
ですがこれはあくまで一例です。
すべてのシニア犬に
10分が適しているわけではありません。
5分でも疲れてしまう子もいれば、
もっと長く歩ける子もいます。
大切なのは、
愛犬が疲れ切る前にお散歩を終えること。
無理なく続けられる時間を探してあげてください。
⑤ 歩けない子はカートや抱っこを活用する

「もう自分で歩けないから、お散歩は無理…」
そんなふうに思っている飼い主さんも
いるかしれません。
でも歩けなくなったら、
お散歩は終わりではありません。
自分の足で歩くことが難しくても、
カートに乗って外へ出ることはできます。
風を感じたり、
周囲の匂いを嗅いだり、
外の景色を眺めたり。
そんな時間も、
愛犬にとって楽しみになるかもしれません。
もちろん体調が悪いときや、
外出そのものがストレスになる子に
無理をさせる必要はないです。
カートを使う場合は、
転落や暑さ・寒さにも注意してください。
「歩くことができない=外を楽しめない」
ではありません。
今の愛犬に合ったお散歩の形を探してあげましょう。
⑥ 足元と気温に気をつける
シニア犬のお散歩では、
歩く環境にも気を配ってあげてください。
特に注意したいのが、
滑りやすい道・段差・暑さ・寒さ。
後ろ足が弱くなっている子にとって、
滑りやすい場所は
転倒の原因になることがあります。
暑い日のアスファルトは
肉球を傷める危険があり、
熱中症にも注意が必要です。
お散歩前には、
地面が熱くない?
滑りやすい場所はない?
大きな段差はない?
愛犬が快適に歩ける気温?
ということを確認してあげましょう。
無理に決まった時間に行く必要はありません。
その日の天気と愛犬の体調に合わせて、
お散歩の時間を変えてもいいんです。
⑦ 帰宅後の様子まで観察する
お散歩中は楽しそうだったのに、
帰宅したらぐったり。
翌朝立ち上がりにくそう。
こんなことはありませんか?
シニア犬の場合、
散歩中だけでなく、
その後の様子も大切です。
歩いているときは頑張れていても、
運動量が多すぎることがあります。
帰宅後に確認したいのは、
☑ 呼吸が落ち着いている?
☑ いつも通り歩けている?
☑ 足を引きずっていない?
☑ 痛そうな様子はない?
☑ 翌日まで疲れが残っていない?
ということ。
「散歩に行けたから大丈夫」ではなく、
「散歩のあとも大丈夫だったか」。
ここまで見てあげると、
愛犬に合った散歩量が分かりやすくなります。
④ お散歩を嫌がる日は休んでもいい

ここまで、お散歩の大切さをお話ししてきました。
でも、毎日絶対にお散歩に行かなければいけない
わけではありません。
シニア犬にも、
今日は少し疲れている。
なんとなく気分が乗らない。
外が暑すぎる。
そんな日があると思います。
無理に連れ出す必要はありません。
いつもと違って急に散歩を嫌がる場合や、
元気・食欲などにも変化がある場合は、
体調不良の可能性を考えてください。
体調が安定している子なら、
お散歩をお休みする日は、
お家でできることを取り入れてもいいですね。
例えば、好きなおもちゃで遊んだり、
室内で匂いを使った遊びをしたり。
ただし、
室内遊びも体に負担がかからない
範囲で行いましょう。
「今日はお散歩に行けなかった…」
と落ち込む必要はありません。
その日の愛犬に合った過ごし方ができれば、
それでいいと思います。
⑤ 私がシニア犬のお散歩で大切にしてほしいこと
シニア犬のリハビリに関わっていると、
「前はもっと歩けたのに…」
「最近、全然歩かなくなってしまって…」
という飼い主さんの言葉を聞くことがあります。
若い頃の愛犬を知っているからこそ、
寂しく感じることもあると思います。
私はそんなときこそ、
「今できていること」に目を向けてほしい
と思います。
若い頃は1時間歩いていた。
今は10分しか歩けない。
でも、その10分で大好きな匂いを嗅げた。
飼い主さんと一緒に外へ出られた。
楽しそうな表情が見られた。
それも、とても大切な時間だと思います。
シニア犬のお散歩は、
若い頃のようにたくさん歩くことだけが
目的ではありません。
今の愛犬が楽しめる時間を作ること。
これもお散歩の大切な役割だと考えています。
⑥ 今日からできること
この記事を読んで、
「明日から散歩の時間を増やそう!」
と思う必要はありません。
まずは、
次のお散歩で一つだけ意識してみてください。
愛犬のペースで歩いてみる。
いつもより少しゆっくり歩く。
安全な場所で匂いを嗅ぐ時間を作る。
疲れていそうなら早めに帰る。
そして、
帰宅後の様子も観察してみてください。
もし余裕があれば、
お散歩中の歩き方を動画に残しておく
のもおすすめです。
歩幅や後ろ足の動き、
疲れやすさなどを、
以前の動画と比べられるようになります。
小さな変化に気づく
きっかけになるかもしれません。
まとめ|お散歩の形は変わっても、楽しみはなくならない

シニア犬になると、
若い頃と同じようには
歩けなくなることがあります。
歩くスピードが遅くなる。
距離が短くなる。
途中で休むことが増える。
そして、いつか自分の足で歩くことが
難しくなる日が来るかもしれません。
でも、歩ける距離が短くなったからといって、
お散歩の価値が小さくなるわけではありません。
5分でもいい。
家の前で匂いを嗅ぐだけでもいい。
カートに乗って外の空気を感じるだけでもいい。
その子が心地よく過ごせるなら、
いろいろなお散歩の形があっていいと思います。
大切なのは、
「どれだけ歩いたか」ではなく、
「その時間をどう過ごせたか」
若い頃と同じことができなくなっても、
今だからこそ楽しめることがあるかもしれません。
そして、もう一つ伝えたいことがあります。
お散歩は、愛犬のためだけの時間ではありません。
飼い主さんにとっても、
愛犬と一緒に季節を感じたり、
何気ない日常を楽しんだりできる大切な時間です。
距離や時間にこだわりすぎず、
その子のペースで続けてほしいと思っています。
今日も一緒に外へ出られた。
今日も同じ景色を見られた。
今日も大好きな匂いを嗅げた。
そんな小さな幸せを、
これからも大切にしていきたいですね。
お散歩の形が変わっても、
愛犬と一緒に楽しむ時間は、
これからも作っていけます。
次回は、
「シニア犬の筋トレは必要?
お家でできる簡単エクササイズ」
をテーマにお届けします。
また次の記事でお会いしましょう。
👇公式LINEはこちら

「もっと早く知っていれば」
と後悔する飼い主さんを一人でも減らしたい。
そんな思いで発信しています。

コメント